初心者やクラブプレイヤーの対局は、ほとんどがタクティクスで決まります。見逃したフォーク、守りのない駒、突然のバックランクメイト。戦略も大切ですが、勝ち星を増やすいちばんの近道は、短いコンビネーションを今までより速く、確実に見つけることです。うれしいことに、タクティクスの力は鍛えれば伸びます。必要なのは才能ではなく、正しい練習です。
このガイドでは、何か月も続けられるシンプルなプランを紹介します。何を練習するか、どう練習するか、そして学んだことをどう定着させるか。
タクティクスはパターン認識
強いプレイヤーは、すべてを一から読んでいるわけではありません。局面をひと目見ただけで、ピンとくるのです。キングとクイーンが同じ斜めのラインにいるからピンがかかる、ナイトが2つの駒を同時に狙えるマスへ跳べる、といった具合に。このひらめきがパターン認識で、似た局面を何度も見てきた経験から生まれます。
基本のパターンは、名前と一緒に覚える価値があります。名前があると、覚えやすく、盤上で探しやすくなるからです。
- フォーク: 1つの駒が、2つ以上の駒を同時に攻撃する。
- ピン: ある駒が動くと、後ろにいるもっと価値の高い駒やキングが取られてしまうので、動けない。
- スキュアー: ピンの逆。前にいる価値の高い駒がよけると、後ろの駒が取られる。
- ディスカバードアタック: 1つの駒が動くと、後ろにいた別の駒の攻撃が現れる。
- ダブルチェック: 2つの駒で同時にチェックをかける。キングを動かすしか受けがない。
- 守り駒の除去: 大事なものを守っている駒を、取るか追い払う。
- ディフレクションとおびき寄せ: 駒を本来の役目から引き離したり、悪いマスへおびき寄せたりする。
- バックランクメイト: 自分のポーンの後ろに閉じ込められたキングを、最下段に入ったルークやクイーンでメイトする。
パズルを1問解くたびに、頭の中の引き出しに例が1つ増えます。数百問も解けば、探さなくても自分の対局でこうしたアイデアに気づけるようになります。
チェック、駒取り、脅威を確認する
パターンは何ができるかを教えてくれます。確認の習慣は、それを見落とさないためのものです。手を選ぶ前に、強制手をこの順番で確かめましょう。
- チェック: かけられるチェックをすべて。ばかげて見える手も含めて。
- 駒取り: 取れる駒をすべて。駒損に見える取りも含めて。
- 脅威: 価値の高い駒を攻撃する手や、メイトを狙う手。
強制手は相手の選択肢を狭めるので、読みやすく、何かを得られる可能性も高くなります。多くのコンビネーションは、駒を捨てるせいで初心者がひと目で候補から外してしまうチェックや駒取りから始まります。そういう手も、あえて見るクセをつけましょう。
次に、相手の側も同じように確認します。相手には今、どんなチェック、駒取り、脅威があるでしょうか。タクティクスの強さの半分は、相手の狙いに引っかからないことです。
毎日解く習慣を作る
たまに長くやるより、短くても毎日。週に1回2時間より、1日10〜20分のほうが早く上達します。練習と練習の間に、脳がパターンを定着させてくれるからです。
シンプルな習慣の例です。
- 問題数を決める。 5問、10問、20問で十分。はっきりした目標は、なんとなくの決意より続きます。
- やさしい問題でウォームアップ。 簡単なパズルを1、2問解くと、盤を見る目が動き出します。
- 集中して解く。 気が散るものは片付けましょう。上の空で解いたパズルからは、ほとんど何も学べません。
- 最後に振り返る。 終わる前に、間違えた問題を見直しましょう。
連続記録は、意外なほどやる気を支えてくれます。1日休んでも大丈夫。でも、大事に守ってきた習慣は、自然と続く習慣になります。
ミスを計画的に復習する
解けなかったパズルこそ、いちばん価値のあるパズルです。まだ知らないパターンや、足を引っぱった思考のクセを、まっすぐ指し示してくれます。それなのに多くのプレイヤーは、解いて、間違えて、答えをちらっと見て、次へ進んでしまいます。そして翌週、同じ盲点にまた引っかかるのです。
そうならないように、解けなかったパズルには時間をおいて戻りましょう。翌日に1回、数日後にもう1回、1、2週間後にもう1回。これは間隔反復という復習法で、忘れかけたころに思い出すと記憶がぐっと強くなるから効くのです。前に間違えた問題を2回目や3回目にすんなり解けたら、そのパターンは本当にあなたのものです。
復習するときは、なぜ間違えたのかを考えましょう。チェックを見落としたのか、守り駒を見ていなかったのか、1手早く読むのをやめたのか。原因に名前をつけると、実戦でも直しやすくなります。
自分に合った難易度で解く
簡単すぎるパズルは気持ちよく解けますが、学べることはわずか。難しすぎるパズルは当てずっぽうになり、学べることはさらに減ります。ちょうどいいのは、ほとんどの問題がしっかり考えれば解けて、ときどき間違えるくらいのレベルです。
そこで役立つのがレーティングです。MateMindでは、パズルのレーティングは650から始まり、1問ごとに上がったり下がったりします。だから上達しても、出題されるパズルはいつも今の実力に近いレベルです。ランクがポーンからナイト、ビショップへと上がっていくのはうれしいおまけですが、本当のメリットは、難易度があなたの成長についてきてくれることです。
じっくり解く練習と速く解く練習
どちらのスピードにも役割があります。
じっくり解くと、読みの力がつきます。必要なだけ時間をかけて手順を最後まで読み切り、それから最初の一手を指しましょう。どのパズルも、待ったのできない本番の対局のつもりで。上達のほとんどは、この練習から生まれます。
速く解くと、見た瞬間にわかる力がつきます。やさしいパズルをテンポよく解くと、よくあるパターンが一瞬で見えるようになり、実戦で時間と体力を節約できます。
多くのプレイヤーにちょうどいいのは、じっくり解くのを中心に、やさしい問題を速く解く短い時間を少し加えるバランスです。速く解いていて当てずっぽうになってきたら、ペースを落としましょう。
一度にひとつのテーマに集中する
テーマが混ざったパズルは、何が来るかわからない実戦に近い練習です。テーマ別のパズルは役割が違い、フォークやバックランクメイトのような1つのアイデアを、考えなくても見えるようになるまで繰り返し鍛えます。ミスを振り返って同じ弱点が何度も出てくるなら、何回かそのテーマだけに取り組みましょう。それから混ざったパズルに戻り、何を探せばいいかのヒントなしでも見つけられるか確かめます。
まとめ
基本のパターンを覚え、毎手チェック、駒取り、脅威を確認し、毎日少しずつ解き、ミスは2回、3回と見直しましょう。難易度は、手ごたえはあっても無理のないレベルに。シュプリンガーのアドバイスはシンプルです。コツコツ続けた人が勝つ。今日解けなかったパズルこそ、明日あなたの対局で解ける問題です。