駒がすべて盤から消えると、チェスは容赦なく正直になります。ポーンエンドゲームに隠れる場所はありません。1テンポ、キングの一歩の向きを間違えるだけで、確実な勝ちが引き分けに、ときには負けにさえ変わります。だからこそ格好のパズルになるのです。駒はわずかでも、読みは正確さが命です。
うれしいことに、ポーンエンドゲームは覚えられる数個のルールで動いています。それを知れば、運任せに見えた多くの局面が、短くすっきりした計算で片づきます。
ポーンエンドゲームを決める考え方
オポジション。 2つのキングが同じファイルで1マスあけて向かい合うとき、手番ではない側がオポジションを取っています。もう一方のキングは道を譲るしかなく、そこがこちらのキングの前進のきっかけになることがよくあります。
キースクエア。 盤の中央を越えていないポーンなら、その2段前の3マスがキースクエアです。白のポーンがe4なら、自分のキングがd6、e6、f6のどれかに着けば、手番に関係なくポーンはクイーンになります。ルークポーンは例外で、引き分けになりがちです。
ポーンのスクエア。 パスポーンがプロモーションまでに何手かかるかを数え、その手数を一辺とする正方形をポーンから盤の端へ思い描きます。守る側のキングが自分の手番でその中に入れればポーンを捕まえられ、入れなければポーンはゴールまで走り切ります。
外側のパスポーン。 ほかのポーンから遠いパスポーンはおとりになります。相手のキングがそれを追うあいだに、こちらのキングが残ったポーンを平らげます。
ポーンエンドゲームのパズルの読み方
まず数えましょう。それぞれのパスポーンはあと何手?どちらが先に着く?新しいクイーンはチェックつきで現れるか、相手の昇格マスを押さえられるか?競争はたいてい単純な算数で決まるので、駒に触れる前に計算しておきます。
次に、キングの最善のルートを探します。キングは斜めでもまっすぐと同じ速さで進めます。だから相手のポーンのスクエアの中にとどまりながら、別の目標に近づけることがあります。この一石二鳥のキングの手は、パズルの定番の仕掛けです。
最後に、ポーンのブレイクスルーを確認します。隣り合うファイルで3つ対3つのポーンが向かい合うとき、突然のポーンのサクリファイスが道をこじ開けます。典型例は、白のポーンがa5、b5、c5、黒のポーンがa7、b7、c7の局面。1.b6! で強制的に勝ちです。黒がどのポーンで取っても、次のサクリファイスで止められないパスポーンが生まれるからです。
勝ちや引き分けを逃すミス
- ポーンを早く突きすぎる。 ポーンの手は取り消せません。余ったポーンの手は、あとでツークツワンクの戦いに勝つための貴重なテンポです。
- 癖でオポジションを取りにいく。 オポジションは道具で、目的ではありません。相手のキングの横を回り込むアウトフランキングのほうが、実際に道を開くこともあります。
- ステイルメイトを忘れる。 駒がほとんど残っていないと、隅に閉じ込められたキングがステイルメイトになることがあります。「当然の」最後のポーンの一歩の前に、相手に合法手があるか確認しましょう。
- 相手のポーンを無視する。 自分の競争をていねいに数えたのに、相手もプロモーションすること、ときにはチェックつきなのを忘れてしまいます。
実戦で役立つコツ
- 数を声に出しましょう。 「こちらは5手、相手は4手。でもこちらはチェックつきでクイーンになる」。手を数字にすると、希望的観測が消えます。
- トライアンギュレーションを覚えましょう。 相手に手番を渡したいとき、キングは3マスの小さな三角形を歩いて1テンポ損できます。選択肢の少ない相手のキングはまねできません。
- キングの活動性を駒得と同じように扱いましょう。 ポーンエンドゲームでは、中央の活発なキングがポーン1つより価値を持つことがよくあります。行き詰まったら、3手後にキングがどこにいたいか考えましょう。
ポーンエンドゲームのパズルが報いてくれるのは、派手なアイデアより忍耐と正確な計算です。1日数分の練習が、実戦でキングとポーンだけになるたびに効いてきます。



