パズルは勝ちを決める問題ばかりではありません。局面に火がつき、相手が強烈な狙いを突きつけていて、すべてを持ちこたえる手がたった一つしかないこともあります。ほかの手では駒を損するか、メイトされます。その一手を見つける力を鍛えるのが、守りのパズルです。
守りは攻めほど目立ちませんが、稼ぐ勝ち点は攻めと変わりません。守りのうまい人は、負けの対局を引き分けに、引き分けを勝ちに変えます。攻めすぎた相手は、たいていどこかに隙を残すからです。
守りの手のいろいろな形
局面を救う唯一の手には、いろいろな形があります。
- 合い駒。 攻め駒と標的のあいだに駒を挟みます。ふだんなら選ばないマスになることもよくあります。
- 退却。 駒を引いて大事なマスを守ります。消極的に見えてもかまいません。
- 反撃の狙い。 相手が先に対応するしかないほど大きな狙いを作り、時間を稼ぎます。
- 予防の手。 相手が使いたいマスを、使われる前に押さえます。
- キングの移動。 この先のチェックやメイトの網から、一手早く逃げておきます。
- 交換。 いちばん危険な攻め駒を交換で消します。
共通点は、特定の狙いに直接こたえていることです。守りの手は、なんとなく局面をよくする手ではありません。具体的な問題を解決する手です。
最初のステップ:狙いに名前をつける
正体のわからない狙いは防げません。自分の手を考える前に、こう問いかけましょう。「いま相手がもう一手指せるなら、何を指す?」
具体的に考えます。「キングが攻められている」では足りません。「Qxh7でメイトを狙っている」「f7へのナイトのチェックでキングとルークをフォークするつもりだ」まで言葉にします。狙いに名前がつけば、守りの候補はぐっと絞られます。
狙いが2つ同時にあることもあります。正解が一手しかないのは、たいていそのためです。両方に対応できる手が、それしかないのです。
守る側がやりがちな失敗
あわてた手。 プレッシャーの中で、いちばん目立つ狙いを止める手に飛びつき、その裏の2つ目の狙いを見落とします。
守りすぎ。 全部の駒をキングのそばに引き戻すのも一つの手ですが、たいていそこまでは不要です。正確な一手で持ちこたえられるなら、ほかの駒は活発なままにしておけます。
反撃を考えない。 ときには自分の狙いこそが最善の守りです。攻めを直接ふさぐ手しか見ていないと、守りのチェックや反撃の狙いを見逃します。
あきらめが早すぎる。 負けに見えても、隠れた一手が残っている局面はたくさんあります。このテーマのパズルには必ずその一手があります。自分の対局でも探し続けよう、というよい教訓です。
実戦で役立つコツ
- まず相手の狙いから。 自分の手を探す前に、数秒だけ相手の手を考えましょう。読む量がぐっと減ります。
- 候補手をすべての狙いと照らし合わせる。 メイトは防げてもクイーンを取られる手は、守りではありません。負け方が変わるだけです。
- もう一つの役目も果たす守りを探す。 すぐれた守りの手は、同時に狙いを作ったり、大事な攻め駒を交換したり、いちばん働いていない駒を活用したりします。
守りに慣れると、攻めもうまくなります。唯一の一手を見つける難しさを知れば、相手が解けない問題の出し方もわかってきます。










