相手はキャスリング済み。キングの前の3つのポーンは一度も動かず、ルークは中央へ出払っています。安全そうに見えますね。ところがルークが8段目まで一気に滑り込み、対局終了。バックランクメイトは、初心者からマスターまでどのレベルでも、おそらくいちばんよく決め、いちばんよく食らうチェックメイトです。
アイデアはシンプル。キングが自分のポーンのせいで最初の段に閉じ込められ、そこへルークやクイーンがその段に沿ってチェックをかけます。キングを守るはずのポーンが、キングを閉じ込める壁になってしまうのです。
最終局面はこんな形
黒のキングがg8、ポーンがf7、g7、h7。白のルークがe8に入ってチェック。前の3マスはすべて自分のポーンでふさがり、キングは前に出られません。f8とh8はルークと同じ段なので、横にもずれられません。ルークを取ることも、間に駒を入れることもできなければメイトです。
ルークの代わりにクイーンでも、キングがh8やf8でも、同じ形が成立します。大事なのは、1つ前の段のマスがすべてふさがっているか押さえられていて、チェックする駒がバックランクを支配していることです。
バックランクメイトの気配
危険のサインは、たいてい最後の一手よりずっと前から出ています。
- 逃げ場がない。 キングの前のポーンが1つも動いておらず、「ルフト」(キングの息抜き穴)がない。
- バックランクの守り駒が少ない。 最初の段を守るのはルークかクイーン1つだけで、しかもその駒にはほかの仕事もある。
- 攻め駒のためのオープンファイル。 ルークやクイーンが、バックランクへまっすぐ通じるファイルをすでに握っている。
典型的な導入は、ディフレクションかおびき寄せです。クイーンを捨ててバックランクの唯一の守り駒を引き離したり、受ければバックランクが空になる8段目でのルーク交換を持ちかけたり。ルークを重ねるのも定番です。Rxe8+ Rxe8 Rxe8#のように、1つ目のルークが始めたことを2つ目が仕上げます。
攻める側と守る側、それぞれのミス
攻める側でいちばん多いのは、早すぎるチェック。相手にまだバックランクを守るルークがいるなら、そのチェックは駒を失うだけです。まず守り駒を取り除くかそらしてから、飛び込みましょう。相手にチェックで反撃する手があることや、ポーンが動いた後ならキングが逃げられることを忘れるのも落とし穴です。
守る側の典型的なミスは油断。対局中ずっと攻めてばかりで、h3やh6のような静かなポーンの一手を指さずにいると、たった1つのタクティクスですべてが終わります。2つ目は負担過多。バックランクの唯一の守り駒が別の駒も守っていると、相手はどちらかを選ばせるだけで済みます。
実戦のコツ
- 駒を取る前に、自分のバックランクを確認。 自分のルークが最初の段を離れたら、相手のルークやクイーンがチェックで入ってこないか考えましょう。
- 落ち着いた場面でルフトを作る。 キャスリングしたキングの前のポーンを1つ動かすだけで、たいていは何も失わずに、一連のタクティクスを丸ごと封じられます。
- 負担過多の守り駒を探す。 相手のバックランクを守る駒が1つだけなら、その駒が同時に守っている別の何かを攻撃する手を探しましょう。
バックランクメイトのパズルを数十問解けば、形が現れる前に見えてきます。そこからが、このパターンで勝ち始めるときです。










