これほど気持ちいいチェックメイトはなかなかありません。キングは隅で自分の軍勢に囲まれていて、そこへナイトが1つ跳び込んで勝負を決めます。誰もナイトを取れず、ナイトのチェックは合駒で防げず、キングに行き場はありません。自分の駒で窒息しているわけで、スマザード(窒息)という名前はそこから来ています。
スマザードメイトは意外とよく出ます。とくに、守る側がキャスリングしたあと、キングのまわりに駒を固めたままのときです。
覚えておきたい形
定番はこうです。黒のキングがh8、黒のルークがg8、黒のポーンがg7とh7。白のナイトがチェックでf7に着地します。キングの隣の3マス、g8、g7、h7は全部自分の駒で埋まっています。ナイトのチェックは合駒できず、g8のルークはf7に届きません。これで終わりです。
鏡写しでも成り立ちます。キングがh1やa8にいても、ふさぐ駒の組み合わせが違っても大丈夫。条件は、キングのまわりのマスがすべて自分の駒で埋まり、ナイトのマスが取られないことだけです。
有名な導入
スマザードメイトが何もないところから現れることはめったにありません。いちばん有名な手順には、a2-g8の対角線上のクイーンと、キングの近くのナイトが必要です。黒はキングh8、ポーンg7とh7、ルークe8。白はクイーンc4、ナイトg5としましょう。
- Nf7+ で、キングは戻るしかありません。Kg8。
- Nh6+ は、ナイトとその後ろのクイーンによるダブルチェック。キングが動くしかなく、Kh8(Kf8ならQf7#)。
- Qg8+! はクイーンのサクリファイス。h6のナイトがg8に利いているのでキングは取れず、ルークが取るしかありません。Rxg8。
- Nf7# で、キングは自分のルークとポーンに埋もれます。
クイーンが対角線からg8をにらみ、相手のキングが隅の近くで動けないときは、この手順を探しましょう。
攻める側と守る側のつまずき
攻める側は、クイーンのサクリファイスは見えても、相手に別の逃げ道がないかの確認を忘れがちです。g8でクイーンを差し出す前に、キングが本当に取れないこと、ルークの代わりに取れる駒がないことを確かめましょう。ルーク以外で取り返せるなら、隅は開いたままかもしれません。
守る側がこの形で負けるのは、たいてい駒を詰め込みすぎたとき。キングがh8に隠れているのにルークをg8やf8に置いたままだと、最後の逃げ道を自分でふさぎます。f7まであと1跳びのg5やe5のナイトを放っておくのも、よくあるミスです。
すばやく見抜くコツ
- キングの空きマスを数えましょう。 ゼロなら、どんなに変に見えてもナイトのチェックを探し始めます。
- a2-g8の対角線に注目。 そこにいるクイーンやビショップと近くのナイトの組み合わせが、この手順全体の準備です。
- ダブルチェックを味方に。 ダブルチェックはキングを必ず動かします。キングを隅へ追い返すには、まさにうってつけです。
- 序盤からf2とf7を意識しましょう。 オープニングではナイトがそこにチェックで着地し、スマザードのアイデアがよく続きます。
スマザードメイトは見つけるのがとても楽しいメイトです。何度か見れば、駒の混み合った隅にキングが隠れているだけで、目がきらりと光るようになります。











