チェスでいちばん気持ちのいい勝ちは、ほんの一瞬の我慢から生まれることがあります。相手が駒を取り、誰もが取り返すと思っている。そこであなたは先に別の手を指します。チェック、狙い、別の場所での駒取り。相手がそれに対応してから、取り返すべきものをゆっくり回収します。この意外な一手が中間手です。インテルメッツォ、ドイツ語でツヴィッシェンツーク(「あいだの手」)とも呼ばれます。
中間手が効くのは、ほとんどの交換が決まった手順で読まれているからです。取る、取り返す、また取る。中間手はその台本を破ります。取り返しを取り消すのではなく、盤面が有利になるまで先送りするだけです。
中間手になる条件
はさむ手には2つの条件があります。まず、相手が無視できないほど強制力があること。定番はチェックですが、クイーンへの狙い、メイトの狙い、価値の高い駒の駒取りでもかまいません。次に、そのあとも元の取り返しが残っていること。取り返すはずの駒がその間に逃げたり守られたりすれば、ただの駒損です。
両方が成り立てば、タダで一手指せます。相手は手番を使ってあなたの狙いに対応し、あなたは取り返す前に自分の局面をよくできます。
かんたんな例
よくあるミドルゲームを想像しましょう。相手がビショップであなたのナイトを取り、自然な応手はポーンで取り返すこと。でもその前に見渡すと、クイーンでチェックしながら、盤の反対側の守られていないルークも攻撃できることに気づきます。
そこでチェック。相手はそれに対応するしかなく、ルークは救えません。ルークをいただいても、相手のビショップはまだナイトのいたマスに居座っていて、次の手で取り返せます。単純な交換が、ルーク丸ごとの得に変わりました。
守りでも同じアイデアが使えます。相手があなたのキングを引きずり出そうと交換を始めても、タイミングのいいチェックで先に相手のキングを悪いマスへ追いやれば、コンビネーション全体が崩れます。
中間手が隠れているサイン
- 相手が駒を取ったばかりで、あなたの「いつもの」取り返しは次の手でも残っている。
- チェックがある。特に、2つ目の標的も狙えるチェック。
- 相手の駒が守られていないか、相手のキングがむき出し。
- 取った相手の駒が、ピンされていたり囲まれていたりして逃げにくい。
- 相手の直前の手が作った狙いに、もっと大きな自分の狙いで応じられる。
つまずきやすいポイント
いちばん多い失敗は、取り返し以外の手をまったく考えないことです。取り返しは反射で、その反射こそ中間手につけ込まれるところです。
逆の失敗も同じくらい高くつきます。何も生まない派手なチェックです。はさんだ手のせいで、相手が駒を守ったり、逃がしたり、テンポを得て取り返したりできるなら、時間を無駄にし、取り返すはずの駒まで失うことがよくあります。寄り道のあとも取り返しが残るか、必ず確認しましょう。
中間手をくらう側にも気をつけましょう。自分から交換を始めるときは、相手が取り返す前にチェックをはさめないか確認します。
身につけたい3つの習慣
- 取り返す前に2秒だけ自問する。「先にチェックや、もっと大きな狙いはない?」
- 交換を読むときは、駒取りだけでなく、各段階で両者の強制手をすべて挙げる。
- 中間手を見つけたら手順を最後まで進め、元の駒取りが最後まで盤上に残っているか確かめる。
最初はまどろっこしく感じるかもしれません。でも練習すれば取り返しと同じくらい自然になり、相手が存在すら知らなかった「もう一手」が見えてきます。










